書籍「ネイティブ添削で学ぶ英文ライティング」 まえがき
英文のメールやビジネスレターを書こうとする方は、まずは現在知っている単語や文法を使って、なんとか文書を作り上げようとするでしょう。そして経験を重ねて、新しく覚えた単語を使ってみる、辞書や文法書に掲載されている効果的な構文を採用してみる、違う言い方を
考えてみるといったことを通して、さらに質の高い英文が書けるように
なります。これが英文ライティング学習の基本ですし、どんな上級者の
方も、おそらく日々こうした努力をつづけていることでしょう。
しかし、実際のビジネスシーンにおいては、あるいは学術論文を発表する際には、基本的に内容が明瞭で、かつ文法・語法的に正しい英文を
書くことが求められます。海外の会社に英文メールで問い合わせてみたものの、こちらの意図したことがうまく伝わらなかった、あるいは自分の考えや意見を率直に伝える文書を発信してみたところ、予想に反して相手の気持ちを害してしまった、といった話を時どきうかがいます。
辞書や参考書の例文をそのまま引用しても状況にそぐわないことはよくあります。日本人的発想で英文を書いてしまい、相手に理解してもらえなかった、不自然に思われてしまった、という経験をお持ちの方もいると思います。私たちと異なる文化背景を持つ英米人に問題なく理解してもらえる英文を書くのは、いつの時代も大変むずかしいことです。
そこで、自分が書いた英文を「ネイティブスピーカーにチェックしてもらう」必要性が生じます。
しかし、一口に「ネイティブ・チェック」と言っても、「信用できるネイティブに見てもらう」ことが基本として求められます。実際に仕事で日々英語を書いている、英米文化・社会事情に関してバランスの取れた知識を有している、外国人に英文ライティングを指導した経験があるなど、英文チェックのできるネイティブスピーカーには、やはりいくつか条件があります。
さらに、プロのネイティブ・チェッカーに校閲を依頼するとなると、それなりのお金がかかってしまいます。この問題も、日本人英語学習者の大きな障害になっていると思われます。
私たち「英語便」は、そんな日本人英語学習者と使用者の気持ちにお応えしたいと思い、2005 年にサービスを開始しました。以来、多くのご利用者に支えられ、おかげさまで2012 年に7年目を迎えました。
2011 年12 月現在、累計メンバー数は1万人以上、継続メンバー数は2000 人以上です。
また、「お手頃な値段でネイティブ添削を提供する」こともサービス・
ミッションの1つとしており、6ヶ月で1万9800 円のコースからご用意しています(2012 年1月現在)。
英語便の講師は、もちろん全員が英語を母語とするネイティブスピーカーです。アメリカ人をはじめとして、カナダ人、イギリス人、オーストラリア人、ニュージーランド人ほかのメンバーを集めています。全員がプロのライターやジャーナリストであり、ほかにも大手企業のビジネス英語クラスの講師や英検二次試験の面接委員など、各方面の英文ライティングのスペシャリストを10 人そろえています。
英語便のネイティブ添削は、特に「自然な語感を伝える」ことに焦点を置いています。メンバー1 人ひとりから提出される1つひとつの英文記事を、10 人のネイティブスピーカーが念入りに確認して、必要に応じて修正を施し、さらには明瞭で具体的な解説や用例も付けて、基本的に24 時間以内、遅くとも48 時間以内にお返ししています。
たとえTOEIC900 点以上のスコアを持っている方でも、ネイティブスピーカーから見ると、不自然な英語を書いていることも少なくありません。当サービスの2011 年度の提出英文傾向分析では、文章全体の10%
以上が不明瞭または不自然と判断される英文を書いたメンバー数が、全メンバー数の2割を超えています(TOEIC 900 点以上の英語便のメン
バーのなかから100 人をランダムに抽出し、2011 年1 月から6月までの6ヶ月間において調査した結果です)。「英語便」は、このように上級者の方たちの英文ライティングの添削も受け付けています。
また、これまで英語便で添削を受け付けた1万人以上の方たちの英文ライティング傾向を分析し、日本人英語学習者がよく間違える英語の使い方と、その修正ポイントをデータに蓄積し、サイトで公開しています。
さらに「コミュニティ」では、メンバー間で英語の使い方に関する議論が毎日活発に行なわれています。その情報も随時データに反映しています。
以上、詳しくは、実際に英語便のサイト( www.eigobin.com)を確認
してみてください。
本書『ネイティブ添削で学ぶ英文ライティング』は、ここでご紹介した英語便の様々なオンライン学習コンテンツを盛り込んだ紙媒体での初の公式学習ツールです。英語便がこれまで蓄積してきた学習ノウハウをもとに、日本人英語学習者がなかなか気づかないネイティブ視点による英文ライティングの書き方を、紙幅が許す限り、情報として盛り込みました。
本書では、実際に英語便のメンバーが書いて提出し、ネイティブ講師がていねいに添削し、解説を付けたものを、重要例文とあわせて、できる限り紹介しました。実際の英語便ではネイティブ講師は添削の解説を英語で行なっていますが、ここでは英語の解説に慣れていない方にもネイティブ添削の面白さと有効性を理解していただくために、それをすべて日本語で付けました。
英文添削例も、ビジネスメール8本、ビジネス文書6 本、プライベートメール6 本、ショートエッセイ1本のほか、TOEFL iBT, 英検1級、TOEIC SW テストのライティング問題も収録しました。読者のみなさまには、それぞれ目的に応じた英文の書き方を学んでいただきたいと思い
ます。
また、本書を読み終えた読者のみなさまに実際にネイティブ添削を体験していただきたいと考えて、英語便のサイトでは「無料添削サービス」もご用意しました(詳しくは211 ページをご覧ください)。ぜひこちらもチャレンジしてみてください。みなさまのご応募をお待ちしております。
本書を通じて、読者のみなさまが、自然な英語感覚を身に付けて、ネイティブ顔負けの英語が書けるようになっていただけますことを、英語便のスタッフ一同、願ってやみません。
本書出版にあたり、課題の添削例の掲載にご協力いただいた英語便のメンバーのみなさま、そして貴重なご意見をお寄せくださったすべての方に、心より感謝申し上げます。
また、末筆ながら、研究社編集部の金子靖さんには、企画から構成まで、
一方ならぬお世話になりました(実は金子さんも英語便の熱心なメンバー
の1人なのです)。この場を借りて、金子さんに厚くお礼申し上げます。
2012 年1 月7 日
英語便 スタッフ一同
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